1. 奇門遁甲の概要と基本構造

奇門遁甲（きもんとんこう）は、中国の古代の占術で、戦略、風水、ビジネス、個人運勢などに利用される方法です。奇門遁甲は、「奇門」「遁甲」という二つの要素から成り立っています。

• 奇門（きもん）: 8つの門（開、休、生、傷、杜、景、死、驚）を指し、それぞれ特定のエネルギーや方向性を表します。
• 遁甲（とんこう）: 「甲子（かっし）」という天干（十干）の中で最も重要な干を隠すことを意味し、エネルギーや運勢の変化を読む技術です。

2. 奇門遁甲の歴史

奇門遁甲は、古代中国の兵法や天文術に由来します。黄帝（こうてい）とされる伝説的な人物が戦術に使ったと伝えられています。戦国時代から風水や政治戦略にも応用され、現代では個人運勢やビジネス戦略にも使用されています。

3. 奇門遁甲の目的

奇門遁甲は、以下の目的で使用されます：

• 良いタイミングの選定: 重要な決定や行動のタイミングを知る。
• 方向の選択: 風水や移動、旅行で良い方向を選ぶ。
• 運勢判断: 人の運勢や性格、人生の流れを知る。

4. 奇門遁甲の基本構造：「盤」について

1. 「盤」とは？

奇門遁甲では、情報を整理して判断するための「盤」と呼ばれる図を使います。これは時間、空間、人間の行動に基づくエネルギーの流れを視覚的に示したものです。盤は、大きく分けて以下の要素から成り立っています。

2. 「盤」の構成要素

• (1) 九宮（きゅうきゅう）:
  九宮とは、盤を9つのマスに分割したもので、風水の「八卦」と中央の「中宮」に対応します。各宮（マス）は特定の方位を表し、それぞれ固有のエネルギーを持っています。

  宮名	方位	意味例
  一宮	北	静寂、変化
  二宮	北東	安定、成長
  三宮	東	成長、活力
  四宮	南東	学問、知識
  五宮	中央	中心、統一
  六宮	北西	責任、秩序
  七宮	西	喜び、交流
  八宮	南西	蓄積、忍耐
  九宮	南	繁栄、発展

• (2) 三奇六儀（さんきろくぎ）:
  「三奇」とは、甲・乙・丙の3つの吉星を指します。特に「甲」は中心的な存在で、隠されたパワーを象徴します。「六儀」は戊・己・庚・辛・壬・癸の6つの星で、日常的な影響を表します。
• (3) 八門（はちもん）:
  八門とは、盤の中に配置される8つの「門」のことで、物事の状態や結果を表します。

  門の名前	意味	良し悪し
  開門	成功、発展	良い
  休門	休息、安らぎ	良い
  生門	繁栄、健康	良い
  傷門	トラブル、損害	悪い
  杜門	停滞、保守	普通
  景門	表現、創造	普通
  死門	終焉、破壊	悪い
  驚門	驚き、混乱	普通

• (4) 九星（きゅうせい）:
  九星とは、各宮に配置される星のことで、その方位の運勢や特徴を示します。

  星の名前	意味例
  一白水星	知恵、柔軟性
  二黒土星	忍耐、努力
  三碧木星	活動、挑戦
  四緑木星	平和、調和
  五黄土星	権力、影響力
  六白金星	秩序、規律
  七赤金星	喜び、楽しみ
  八白土星	蓄積、安定
  九紫火星	情熱、直感

• (5) 天干（てんかん）:
  天干は10種類（甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸）の要素で、人の行動や物事のエネルギーを示します。

3. 「盤」の種類

• 年盤: 長期的な運勢を見るための盤。
• 月盤: 月ごとの運勢を見るための盤。
• 日盤: 1日の運勢や短期的なイベントを見るための盤。
• 時盤: 時間単位での細かい運勢を見るための盤。